栄養

*脂質(脂肪)

脂質はエネルギー源として使われる他に、細胞膜・血液・ホルモンなどの原料となり、ビタミンA・D・Eなどの脂溶性ビタミンの吸収を助ける役割があり、肌や頭皮の健康にかかわっています。
しかし、脂質は摂り過ぎの傾向にあります、即効性のエネルギーである糖質と違い、脂質はある程度蓄えのきくエネルギー源ですので、摂りすぎた分は主に脂肪になります。
脂肪=肥るというイメージの方が多いと思いますが、必須アミノ酸と並ぶ発育成長および健康維持に欠かせない体組織構成物質として、5大栄養素のひとつに数えられています。
脂肪の中には、体内で合成されない「必須脂肪酸」というものがあり、リノール酸は最も重要な必須脂肪酸で、特に幼児の成長・発育に重要な働きをします。
また脂肪酸は、血圧や血液凝固、炎症や他の体の機能のコントロールを助けます。

脂質(脂肪)のページマップ

*脂質(脂肪)-- 
  
 ├-- 脂質(脂肪)の種類 --
 ├-- 脂肪酸
 ├-- 中性脂肪
 ├-- リン脂質
 ├-- コレステロール
 └-- ステロイド
  
 ├-- 脂肪酸の種類 ------
 ├-- 飽和脂肪酸
 ├-- 一価不飽和脂肪酸(n-9系)
 ├-- 多価不飽和脂肪酸(n-6系)
 └-- 多価不飽和脂肪酸(n-3系)
  
 ├-- 必須脂肪酸の特徴 --
 ├-- リノール酸
 ├-- 食品の脂質と脂肪酸├-- リノレン酸
 └-- アラキドン酸
 └-- 脂質(脂肪)まとめ 

脂質の種類

脂質と言ってもその種類は多数あります、体にとって必須成分が含まれ脂質にとって重要な構成成分の脂肪酸、おもに中性脂肪と呼ばれる数種のグリセリド、主に細胞膜に存在するリン脂質、健康の指針としても使用されるコレステロール、胆汁酸をはじめとするステロイドや男性ホルモン・黄体ホルモン・卵胞ホルモン・などのステロイドホルモンなどがある。

脂肪酸

脂質の構成成分でもある脂肪酸は十数種類ありますが、大別すると飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸の3つに分けられます。
動物性のものに多く含まれる飽和脂肪酸は、主にエネルギー代謝にかかわっています。
植物等に多く含まれ、オリーブ油や菜種油に含まれるオレイン酸が代表的な一価不飽和脂肪酸は、善玉コレステロールを減らさずに悪玉コレステロールを減らす特徴があり、エネルギー源としても使われる。
多価不飽和脂肪酸は植物と魚介類に多く含まれ、多価不飽和脂肪酸はさらにn-6(エヌマイナスロク)系脂肪酸とn-3(エヌマイナスサン)系脂肪酸の2種類に分けることができます。
紅花油、大豆油などに含まれるリノール酸に代表されるn-6系脂肪酸は、コレステロールを下げる、ホルモンや発育、脳の働き等にとって重要な役割を果たしています。
魚介類に多く含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)等に代表されるn-3系脂肪酸は、エネルギー源であったり中性脂肪を減らす、脳神経などにとって大切な役割があります。
この脂肪酸には、人が生きるうえで大切であり体内で作ることができない必須脂肪酸があります。

中性脂肪

健康診断や生活習慣病、メタボリック症候群などで、何かと注目されがちな脂質ですが、その役割は主に糖質に次ぐエネルギー源となり、内蔵を衝撃から守る、体温を保つなど体にとって大切な役割を担っています。
しかし中性脂肪は、飢餓に備えて体内に脂肪を蓄える性質がありるために、食べ物に困らなくなった現在では肥満の原因となっています。中性脂肪などが蓄えた脂肪を体脂肪と呼んでいます。
また中性脂肪は、膵炎、C型肝炎、肝臓がん肝硬変を助長すると考えられていて、体脂肪の増加には注意が必要。

リン脂質

リン脂質は、おもにレシチン、スフインゴミエリン、リゾレシチン、セファリンから成る複合脂質の1つで細胞膜の主要成分であり、細胞間の情報伝達にもかかわっていて、体を構成する細胞にとって大切な脂質の1つ。
リン脂質の特徴として、脂質でありながら親水性(水になじむ部分)と、疎水性(なじまない部分)の両方を持っているため、水には完全に溶けないが、水とも油とも混ざり合う性質を持ち、乳化(水と油を仲介)することができる。
ちなみに、卵黄に多く含まれるリン脂質を利用してマヨネーズが作られている。

コレステロール

コレステロールは主に細胞膜に存在する脂質で、食事からの摂取よりも、体内での合成によるものが大半を占めている。
なかでもコレステロールを作る肝臓や細胞が密集した脳、脊髄に多く存在する。
コレステロールは、おもに肝臓や皮膚で作られ、血液中をリポ蛋白により全身に運ばれている。よく言われる悪玉コレステロール(LDL)や善玉コレステロール(HDL)は、この血液中のLDLリポ蛋白コレステロール複合体(LDLコレステロール)HDLリポ蛋白コレステロール複合体(HDLコレステロール)の状態によるもで、必ずしもコレステロールは体に悪いものではなくて反対に細胞などにとって必要不可欠な脂質でもある。
しかし、コレステロールの値は無視することはできません、血管の病気、動脈硬化や生活習慣病の一因である事は間違いないようです。

ステロイド

ステロイドには消化吸収に必要な胆汁酸の他、男性は男性らしく、女性は女性らしくなるためのホルモンをステロイドホルモンと呼ばれている。
胆汁酸は、肝臓に疾患があると血液中に放出されるため肝臓疾患の検査に使われることもある。
ステロイドホルモンの1つであるアンドロゲンは、いわゆる男性ホルモンと呼ばれています。男性に必要な精子の製造にもかかわっています。
プロゲステロンは黄体ホルモンとも呼ばれ、月経の周期決定や妊娠の準備、妊娠中はそれを維持するために使われる女性には欠かせない脂質の1つ。
エストロゲンは女性ホルモンと呼ばれ、思春期以降に急激に増えはじめ、胸が大きくなる月経が始まるなど女性らしくなるためには欠かせない脂質の1つ。
更年期以降エストロゲンの量は減少し始める。ちなみに男性にもエストロゲンがある、その量は更年期以降の女性と同程度の量といわれている。

脂肪酸の種類

脂肪酸は飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸に分けられるが、さらにそれぞれ多数の脂肪酸に分かれます。
全ての脂肪酸は紹介し切れませんので、人にとって影響の大きいおもな脂肪酸と、それを含む食品は表の通り。

飽和脂肪酸

・ラウリン酸
主にココナッツオイル、ヤシ油に含まれ、体へのウィルス感染から守る抗菌性や酸化を防ぐ抗酸化作用、水を油に溶かすことができる等の特徴がある。
特長を生かし石鹸やシャンプーに使われる。
・ミリスチン酸
動植物の脂肪に広く含まれ、特にヤシ油やパーム油に多く含まれる。
コレステロール合成にかかわり、血中のコレステロールが肝臓に戻るのを邪魔をしてしまい、結果的にLDLコレステロールが増えることに繋がっています。
石鹸やシャンプー、ローションに使われ、口紅、アイシャドウ、ファンデーション等の化粧品に使われることもある。
・パルミチン酸
牛脂やラードに多く含まれ、肝臓でのコレステロール生成を促進させ血中のコレステロール濃度を上昇させる。
化粧品や界面活性剤などによく使われる。
・ステアリン酸
動植物の脂肪中に最も多く含まれる脂肪酸。LDLコレステロールを減らしHDLコレステロールを増やす働きがある。
洗剤や食品添加物、医薬品などに使われている。

一価不飽和脂肪酸(n-9系)

・オレイン酸
オリーブ油、菜種油、ナッツ類、ラード、牛脂に含まれる脂肪酸。
細胞の膜など生体膜の構成成分で、細胞内外でのやりとりに重要な役割があり細胞活動にとっては欠かせない脂肪酸です。
血液中のLDLコレステロールを低下させるとされてきましたが、近年コレステロールの濃度に関して中性であり関係はないとされている。
肌への刺激が少なく、クリームやローションなど化粧品の原料に使われる。

多価不飽和脂肪酸(n-6系)

・リノール酸
べにばなやコーン、菜種、オリーブ、大豆、ひまわり、ごま油、胡桃、綿実油
体内で生成することができない必須脂肪酸で、細胞膜に多く見られる構成成分。同じく必須脂肪酸のアラキドン酸を生成できる。
・γリノレン酸
母乳、月見草油などに含まれる脂肪酸。
食品にほとんど含まれないため、通常は体内でリノール酸をもとに酵素の働きで合成される。
必須脂肪酸の1つであり、細胞膜や皮膚の保護には欠かせない脂肪酸の1つ。
・アラキドン酸
レバー、卵白、あわび、サザエ、肝油などに含まれる脂肪酸。
必須脂肪酸でありながら食品に含まれる量はわずかで、リノール酸から酵素の働きで合成される。
記憶をつかさどる海馬に多く見られ、記憶など脳内で重要な役割をもっている。

多価不飽和脂肪酸(n-3系)

・αリノレン酸
しそ、えごま、フラックスシード(亜麻仁)油等に含まれる脂肪酸。
必須脂肪酸であり、EPAやDHAを体内で合成することができる。アレルギー、癌細胞の抑制、血液をサラサラにし血液循環疾患の低減などが期待されます。
・EPA(エイコサペンタエン酸)
さば、いわし、さんまなど魚油、いわゆる青魚に多く含まれる脂肪酸。
血液を固まりにくくする、中性脂肪を減らす、コレステロールを減らすなどの特徴があり。血栓ができにくくなり脳梗塞、心筋梗塞等を予防する。高血圧や高脂血症を防ぎ、血圧を下げる働きがある。
アレルギー疾患、関節炎等の症状を改善、予防すると言われている。
・DHA(ドコサヘキサエン酸)
かつお、マグロ、さんま、うなぎなど魚油、主に青魚に多く含まれEPAと共に摂られる事が多い。
中枢神経系や網膜、心臓、母乳に多く存在する。脳にとって大切な脂肪酸で、学習能力、記憶や視力などにも影響があり、認知症の改善に効果的とされている。
高アレルギー、抗炎症作用、高血圧、高脂血症などの生活習慣病の予防にも良いとされる。

必須脂肪酸の特徴

脂肪酸には人には欠かすことの出来ない大切な必須脂肪酸というものがあります。
必須脂肪酸の選定に関して諸説ありますが、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸の3種類が必須脂肪酸と呼ばれることが多いようです。
植物油に多く含まれるリノール酸。植物油や魚油(EPA,DHA)に多く含まれるγリノレン酸及びαリノレン酸。母乳、レバー、卵黄中にわずかに含まれていますが、リノール酸から体内で生成できるアラキドン酸。
これらリノール酸、γ及びαリノレン酸、アラキドン酸は必須ですので生きていくうえでは欠かすことができません。

リノール酸

リノール酸は体の中では作れない脂肪酸なので食品からの摂取がひつようです、リノール酸は血液中のコレステロールや中性脂肪の値を一時的にではあるが低下させるといわれる、過剰に摂ることでアレルギーや心臓、脳血管系疾患、欧米型癌、アレルギー性疾患、その他炎症性疾患等を招くとされる。
リノール酸の欠乏は髪のパサつきや抜け毛、傷の直りが遅くなるなどの症状が出る。
因みにリノール酸は、石鹸や乳化剤などの製造に用いられ、肌の保湿や、ニキビなどに対する抗炎症作用など肌に良い性質を持ち、化粧品にも使われている。

リノレン酸

リノレン酸にはγリノレン酸、αリノレン酸の2種類あり、αリノレン酸は食品から比較的簡単に摂取することができますが、γリノレン酸は食品から摂取することは難しい、リノール酸から体内で作ることができるが必要量を確保するには至らない。
αリノレン酸は体内でエネルギーになりやすく、必要に応じからだの中でEPA、DHAに作り変えられる、血液中のコレステロールを下げる等の特徴がある。
ちなみにEPAはからだの中に広く分布しており、細胞膜のリン脂質に取り込まれ、血栓症の予防や制ガン、抗アレルギーなどの作用を示すとされています。
DHAは脳神経系の発育や機能維持に欠かせず、胎児や新生児には特にだいじな脂肪酸です。
γリノレン酸はホルモン分泌が増えアレルギーを抑制したり、PMS症状、更年期障害などを軽減する女性にはうれしい効果が期待されています。

アラキドン酸

アラキドン酸は人の細胞膜のリン脂質として存在し、特に脳に多く存在しています。
食品に含まれるアラキドン酸の量はわずかなために食品から必要量を確保するのは難しくなっています。
アラキドン酸はリノール酸から体内で生成する事ができます。しかし年齢とともにアラキドン酸に変える酵素が減るといわれています。
脳内の主要な脂肪酸であり、記憶など脳の働きに重要な役割を果たしていることが分かってきました。脳の学習・記憶能力に良いとされる実験結果が発表され、認知症への期待が高まっています。

食品の脂質と脂肪酸

特定の脂質を減らすより脂質はバランス良く摂ることがが大事です、特に飽和脂肪酸は動物性食品に多く含まれるため意識していないと摂りすぎてしまいますが極端に控えるのは好ましくありません。
食事摂取基準によると飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸の望ましい摂取割合はおおむね3:4:3を目安とする指針が出ています。
ちなみにn−6系多価不飽和脂肪酸とn−3系多価不飽和脂肪酸の比は、健康人では4:1程度とされています。

不飽和脂肪酸が多く含まれている食品を摂る事で、上手に脂質と付き合っていきましょう。
不飽和脂肪酸は、青魚(イワシ、サバ、ニシン、サンマ)やマグロ、鮭、ウナギ、オリーブ油などに多く含まれています。

*食品に含まれる脂質と飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸の量
食品名脂質100gあたり(g)飽和脂肪酸:一価・多価不飽和脂肪酸(g)
・牛かたロース37.412.19 : 20.16 : 1.06
・サーロイン47.516.29 : 25.05 : 1.12
・牛ばら50.015.54 : 26.89 : 1.12
・牛ヒレ15.05.79 : 6.90 : 0.49
・牛レバー3.70.93 : 0.48 : 0.64
・牛タン21.77.47 : 11.06 : 0.63
・豚かた17.26.24 : 8.04 : 1.75
・豚ロース22.68.97 : 9.86 : 2.25
・豚バラ40.115.39 : 18.42 : 3.51
・鶏むね肉17.23.53 : 5.52 : 1.54
・手羽14.64.21 : 6.87 : 2.18
・鶏もも13.24.30 : 6.61 : 1.82
・いわし13.93.84 : 2.80 : 3.81
・かつお6.21.50 : 1.33 : 1.84
・さば12.13.29 : 3.62 : 1.91
・さんま24.64.23 : 10.44 : 4.58
・にしん15.12.97 : 7.18 : 2.39
・ぶり17.64.42 : 4.35 : 3.72
・まぐろ27.55.91 : 10.20 : 6.41
・オリーブ油10013.29 : 74.04 : 7.24
・ごま油10015.04 : 37.59 : 41.19
・べにばな油
(高オレイン酸)
1007.36 : 73.24 : 13.62
・べにばな油
(高リノール酸)
1009.26 : 12.94 : 70.19
・大豆油10014.87 : 22.12 : 55.78
・調合油10010.97 : 41.10 : 40.94
・なたね油1007.06 : 60.09 : 26.10
・綿実油10021.06 : 17.44 : 53.85
・やし油10083.96 : 6.59 : 1.53
・牛脂99.841.05 : 45.01 : 3.61
・ラード10039.29 : 43.56 : 9.81
・有塩バター81.050.45 : 17.97 : 2.14
・マーガリン81.621.86 : 31.19 : 23.57

脂質(脂肪)のまとめ

健康な皮膚や頭髪、そして細胞膜などは脂質によって保たれていることを忘れないようにしましょう。
日本人の食事摂取基準による脂質の所要量は1日の食事の総カロリーのうち、脂質は10〜25%が理想とされています。
脂質1gあたりのカロリーは9Kcalですので、1日2000Kcal必要な方の場合、2000Kcal×10%〜25%÷9Kcal=22g〜55gが、1日あたりの脂質の摂取基準(1日2000Kcal必要な方の場合)になります。

女性で注意したいのは、ダイエットにより脂質が極端に不足すると、抜け毛やお肌がカサカサになったりします。 また、ホルモンのバランスが崩れ、生理不順や不妊症のリスクもあります。
しかし脂質は摂り過ぎの人が多くなっています、特に動物性(飽和脂肪酸)の脂肪摂取が増えているようです。これはメタボリック症候群や生活習慣病のリスクが高まります。
また、生活が便利になった現在では、運動量も少ないために摂りすぎた分は脂肪になりやすくなっているようです。
脂質は控えたほうがいいのですが、必須栄養素の1つであることも忘れてはいけません。
日本人の食事摂取基準を参考に、1日に必要な脂質(脂肪)は摂るようにしたほうがいいでしょう。

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